世界へ羽ばたく、庭のうぐいす

福岡県久留米市北野町、菅原道真公を祀る北野天満宮の参道で江戸天保3年(1832年)に創業した山口酒造場。

この歴史ある蔵が醸す『庭のうぐいす』は、減農薬・無化学肥料にこだわる山田錦と九州一の大河・筑後川の恩恵を受ける清らかな井戸水で仕込む、旨みある飲み飽きない酒だ。

 

1054年に創建された北野天満宮の参道で、江戸時代から酒を醸してきた山口酒造場。

神祭に仕える氏子として、今も昔も天満宮様をお守りしている酒蔵だ。

 

現・蔵元の山口哲生さんは、2003年に家宝<天秤棒>の伝達儀式により十一代目を襲名。

「造るのはnipponのこころです」をテーマに、日本人ならではの精神で酒を醸し、美しい水穂の国の素晴らしさを伝えている。

 

山口酒造場が蔵を構える北野町は、肥沃な大地に恵まれ古くから稲作が盛んな地域だ。

しかし、この肥えた土は酒米造りには不向き。

それでも山口さんは契約農家と共に汗を流し、酒米の最高品種<山田錦>を減農薬・無化学肥料で育て、江戸時代に掘り当てたという井戸水を使って酒造りを続けている。

 

「地元産にこだわった山田錦を、100%自社栽培で作るのが今の目標なんです。健康なお米を育てることで品のある米の味が舌に転がり、飲み終えた後まで余韻が続く酒が出来上がるんですよ」

 

減農薬・無化学肥料で育てる酒米は、収穫量が著しく低くなるのが通例。そこには山口さんも頭を悩ませている。

それでも「酒蔵は地域のもの、地域の人の役に立ってこそ」というスタンスと「農業で食べていける地域作りを目指す」という価値観のもと、収穫量が低くなるぶん高値で買い取って地元農家を支援している。

山口さんは「特に言うことではありませんが…」と断りを入れるが、これも北野天満宮に仕える酒蔵として当然の考え方なのだろう。

こうして出来上がる『庭のうぐいす』ブランドは、おかわりしたくなる、飲み飽きない味が特徴だ。

“ついつい一杯。さしつ、さされつ、もう一杯”。

口に含んだ第一印象は軽く、しっかり米の味を楽しませつつ、飲み込んだ後も上品な余韻が楽しめる。

 

「造る酒は、九州の味というものを意識しています。九州はフードアイランドと呼ばれているように、一次産品で勝負できる数少ない地域。野菜にしても肉にしても、味が濃く脂がのっている。そういう食材にマッチするのは、甘い酒なんですよ。うちのお酒は大辛でも酒度で計るとプラス14くらいありますからね。ベースに甘みがあって、それでいてライトな口当たりの酒作りをテーマにしています。そこにどういうボリューム感や味の複雑感を盛り込むかは、酒のラベルによって違いがあっていいと思うんです。そこが酒造りの面白さですから」

 

山口酒造場は海外展開にも積極的だ。

1997年に米国向けの輸出を開始し、現在ではカナダ、イギリス、オーストラリア、中国、韓国、台湾など約10ヶ国と取引している。

また、3年前にはスパークリング日本酒を商品化。

「日本酒で乾杯!」を提案すべくピンク色をしたスパークリングも発売し、人気をさらった。

 

 

日本酒製造のほかにも、梅酒製造でも結果を出している。

農業の指導者であった山口さんの祖父が植えた梅の中から良質な梅だけを厳選し、

原料に酒粕を使った粕取り焼酎を約1年ほど寝かせてじっくり仕込む梅酒は、

唯一無二のとろみと旨みが凝縮した人気商品だ。

 

 

山口酒造場では年内中に蔵の一部立て替えに踏み切り、12ヶ月間同じ状態で出荷できる

冷蔵貯蔵やボトリングにも力を入れていく。

火入れなどダイナミックにお酒が変わる後工程にも気を使った酒蔵にシフトすることで、

『庭のうぐいす』ブランドは更なる進化を遂げるだろう。

180年続く蔵に宿る先人たちの想いを受け継ぎ、

日本人の精神に基づく時代に呼応した酒造りを実践することが、

山口さんが目指す究極の酒となる。

 

 

『山口酒造場』

福岡県久留米市北野町今山534番地1

http://niwanouguisu.com/