“会津”の金紋を受け継ぐ、次世代蔵元の挑戦

栃木県境に近い南会津町で、元禄年間に創業した会津酒造。江戸時代から続く伝統と『金紋会津』ブランドを守り続けてきた蔵に、いま変革が起きようとしている。2012年(23BY)に登場した『山の井』は、雄町48%精米の純米吟醸という変わり種。次代蔵元・渡部景大、25歳の挑戦に迫る。

江戸初期から味噌と醤油造りを営んでいた本家から分かれ、

造り酒屋を始めたのが会津酒造の成り立ち。

元禄年間に創業したその歴史を物語るように、

蔵には江戸期、明治期、昭和期の建物が並ぶ。

江戸時代に建てられた仕込み蔵は、

一年中を通して温度差がなく長期低温発酵に最適な環境だ。

仕込み水に使う山系地下水はミネラル分が多く、

まろやかな口当たりの軟水。

そのため『会津』ブランドをはじめ会津酒造が醸す日本酒は、

淡麗でなめらかな酒質が特徴だ。

 

「30年前に吟醸の生酒や大吟醸の無濾過生を造っていたり、その頃までは酒造りの最先端を走っていた蔵なんです。でも、30年前から現在までは技術革新がピタりと止まってしまっていて…。昔ながらの酒造りと言えば聞こえはいいですけど、時代の流れについていけてなかったのも事実。これではマズいと思い、僕が酒造りの勉強から戻った3年前から少しずつテコ入れを始めたんです。だから蔵のターニングポイントと言えば、まさに今ですね」

蔵に戻った景大氏はバラバラだった銘柄を統一させるブランディングから着手。

地元で販売するレギュラー酒は純米から大吟醸まで『会津』ブランドに統一した。

そして自身で手掛ける初の仕込み(23BY)で、

雄町48%精米の純米吟醸という変わり種を造った。

これが日本酒入門者向けに仕込んだ『山の井 純米吟醸雄町48』だ。

「僕、頭の中が凄くひねくれているので、人と同じことがしたくないんですよ。だから、これから失敗することは多いと思ってます(笑)。実際この雄町48%精米の純米吟醸『山の井』も、なんで雄町を使ってこんなにスッキリした酒なんか造ったんだ!とか、お叱りも多く受けましたし」

通常、雄町という酒米は濃醇でしっかりとした味わいの酒を醸すために使う。

クリアでフルーティーな味わいの『山の井 純米吟醸雄町48』は従来の雄町のイメージとは異なり、

頭の固い日本酒評論マニアからは駄作とも言れた。

しかし、景大氏がターゲットにした女性や日本酒を飲み慣れていない人たちの反応は違った。

豊富に含有するカプロン酸が放つフルーティーな香り、

口の中に広がる芳醇な旨味は

会津酒造の新境地としてひとつのイメージを確立。

新たな日本酒ファンが獲得できる1本として支持する酒販店や飲食店も多い。

「僕と同世代の酒離れが進んでいる今、女性を虜にするような日本酒を提案していくことも必要だと思ってて。強い女性たちに好まれる日本酒が造りたいという想いで、あえて味の出る雄町を使ってスッキリしたお酒を仕込みました。まだまだ一年目のひよっ子なので生意気なことは言えませんが、これから経験を重ねて日本酒好きの方を唸らすようなお酒も造っていきたいと思っています」

 

若い発想力と勢い、そして明確なコンセプトがあって誕生した『山の井 純米吟醸雄町48』。

24BYからはデザインを刷新し

『山の井  雄町 50』、『山の井 五百万石 60』

の2タイプが登場する予定だ。

既に好評を得ている古酒仕込みのリキュール

『金紋会津Hana Letter YUZU酒』や『金紋会津Hana Letter UME酒』と共に、

新生・会津酒造が本格的に幕を開ける。

 

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会津酒造

福島県南会津郡南会津町永田字穴沢603

www.kinmon.aizu.or.jp