日本酒マガジン

横山 拓也

横山 拓也

「日本酒の謎を解き明かしたい・・・」岐阜県にて焼き物の仕事をしています。飲んだ日本酒や行った居酒屋、酒にまつわるあれこれを紹介していきたいと思います。

2017年6月
« 3月  
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930 

第11話 誰かの呟き 「三千盛(岐阜)特醸とっくり」



今晩はかなり冷えるらしい。早々に仕事を切り上げて部屋で一杯呑んでいる。酒は三千盛特醸。ウマい・・・香り控え目、だが芯があり、ふくよかで、透き通る味わい・・・酒の味よろしく今この全て何もかもが透明になっていく・・・。今日も素晴らしい一日だった!という祝祭の一杯ではない。今日も平凡で地味な一日だったが、それはそれでいいではないか、とりあえずまあ呑もうや、という気分を共に噛みしめるには相応しい一杯だ。「終わりなき日常を生きろ」某先生の言うところのアレをどうやらこの酒は語っているらしい。

 

 

 

浅井純介さん作の織部皿としめ鯖

肴にはスーパーで買ったしめ鯖を。40近い歳になり、この組み合わせが何よりだと思う今日この頃。

 

 

 

津田清和さん作のガラス鉢をぐいのみに、と三千盛

「お前なんだかうまそうにやっとるな。明かりが点いてたんで安心したわ。オレは7歳になった。ウチらの世界ではもうシニアらしい。か、どうかは知らんが最近しめ鯖の味もわかるようになってきた。食べさせてくれるなら食べてやってもいい。だが酒の味はわからんヨ」

 

 

 


久しぶりか、ベランダに一匹の知っている黒猫がいる。さすがに今晩通りで過ごすのはキツかったか。窓を開けるとそそくさと中に入ってきて、いつもここで暮らしていたかのようにストーブの真ん前に座った。

 

都心から離れた郊外にある少し古いアパートの二階で、二人は何も話すことなく、冬の夜のひとときを過ごしていた。

 

 

噛みしめざるを得ないその想いを
その透き通る味ですべて引き受けてくれる
そんな三千盛特醸とっくり(180ml)を

 

バンプ・オブ・チキンで「レム」
YouTube Preview Image

by yoko_deco